ブルー・ナイト・イン札幌
美学生だった若いころ、クラスに、夜はススキノで働いている女性がいた(授業中に
生アクビをしている姿を思い出す)。とても明るい性格で、クラスメイトの名前はみな
忘れているのに、彼女だけは今でもフルネームで言える。結婚されて、お子さんが二人
いる・・というところまでは噂として聞いてはいるが・・、今もお元気だろうか。
短い出会いなのに、その後に忘れられない痕跡を残す出会いもある。 もう半世紀も
前のことだ。
*
めずらしく、久しぶりに食堂で音楽を聴いていた。オーディオ機器が故障して、長い
間、音がまともに出なかったためだが、朝から本腰を入れて修理したのが功を奏した。
そんでもって、まず最初に聴いたのが、当時流行っていた流行歌『ブルーナイト・イン
札幌』。ドーナツ盤といって、直径20cmぐらいの小さなレコードだ。レコード針を
下ろすと、ノイズも含め、懐かしい音色が拡がった。
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ドーナツ盤を購入したのは当時ではまれだった。それだけお気に入りの歌謡曲だった
んだろう。曲の出だしがいい。
♪ 津軽の海のかなた 別れて行った人に
切なく燃える想いを つめたくつつむ夜霧
さめた頬に にじむ泪 町の灯が哀しくて
ああ ブルー・ナイト・イン 札幌
ススキノの夜は更ける
女の意地がにくいと 別れて行った人よ
さそう人もいないから ひとり飲むにがい酒
心ゆする 君の言葉 想い出だけを残して
ああ ブルー・ナイト・イン 札幌
ススキノの夜は更ける
(よけいな事だが、彼女はいま、幸せな人生を
送っているだろうか・・)