2022 年 6 月 15 日
今朝5時の山荘の気温:4℃、晴れ。
同じ場所ですが、撮った視点をわずかに変えるだけで、微妙に印象が変わります。
これは、山荘にみえたお客様に教えていただいたことです。
一ヶ所にはりついて、なかなかカメラのシャッターを切ろうとしない。どうして
なんだろう? バチバチ撮って、その中から気に入ったものを選び出せばいいのにと
思いがちですが、彼等にはシャッターを押す寸前の画像が予測されている。だから
「まぁいいや、何枚か撮って、その中から気に入ったものを選び出せばいい・・」と
いうような、安易な気持ちでファインダーを覗かない。一枚一枚の写真が、自然との
格闘なんだろうね、おそらく。
*
古い話しですが(二十歳ごろ?)、アパートで同居していた職場の先輩に、描いた
絵を贈ったことがあった。結婚されるというので、なにか贈るものはないか思案して
いたら、彼が、私の描いた絵が欲しいと言う。その絵はとても暗い絵だった。
当時、夏目漱石の本をよく読んでいた。中でも『門』がとても恣意的で好きだった。
古ぼけた武家屋敷風の門の前で、男がたたずみ、この門を開けてくれと叩く。中から
門番が、鍵はかかってないから、自分の力で開けて入れと言う。でも男には、その門
を開ける力も勇気も無い。・・そうこうしているうちに、陽が陰り、暗くなる。男は
門の前でたたずみ、陽の暮れるのを待つべき不幸な人であった・・・で文章は終わる。
どうして、結婚を前にした彼がそんな暗い絵が欲しいと言ったのか、尋ねたような
気もしたが・・もう忘れてしまった。
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